2013年11月2日。Cubase 13 がリリースされました。Cubase 12 のときと同様に大々的な宣伝は無く、なんとなく地味に感じるリリースです。 と思っていたら翌11月3日の朝にスタインバーグからCubase 13がリリースされた旨のメールが届いてました。
この記事ではCubase 12 ユーザーからみたCubase 13 の変更点、新機能を Cubase Pro を前提にして紹介します。
なお、内容は個人的に注目した点に限定しています。変更点の全てを網羅しているわけではないことに注意願います。
変更点はオペレーションマニュアルの "New Features" の章にまとまっているのでそちらをご参照ください(載っていない変更点もあるようですが)。
ただし、オペレーションマニュアルは2023月11月2日時点では英語版しかありません。(2023-12-9 頃に日本語版が公開されました)
This article introduces the changes and new features of Cubase Pro 13 from the perspective of Cubase Pro 12 users.
Cubase 13の起動では特に変わった点はありません。例によってまずSteinberg HUBが立ち上がります。
(今後は「Steinberg HUB」ではなく、単に「Hub」と呼ぶべきなんでしょうか。そんなメーカーの意思が感じられます。)
Hubの右下を見ると、これまでの「キャンセル」が「Cubaseを終了」に変わっています。Hubを閉じようとするとCubaseが終了してしまいます。
終了時に気付くと思いますが、Cubase 13ではHubではじまってHubで終わるようになっています。
プロジェクトを閉じるとHubが立ち上がり、右下の「Cubaseを終了」で終了するように変わってます。
なぜこんな仕様に変わったのか、理解に苦しむところです。けっこう煩わしさを感じます。
プロジェクトの開き方の一つとして、Hub画面上にプロジェクトファイル(.CPR)をドロップすることもできるようです。
なお、Cubaseの起動アイコンにプロジェクトファイルをドロップして起動する場合はHubはでません。
特にどこが大きく変わったわけではないのですが、フォントが変わったのか、ボタンのデザインが変わったのか、私はそこはかとない違和感を感じます。
なんとなくゴチャゴチャと混み入ったような感じと言えばよいのでしょうか。まあ、このあたりはすぐに慣れるのかもしれませんが...。ボタンのデザインも微妙に変わってるようです。
とりあえず普通に使ってみます。既存機能については大きな変更点はほとんどないように思います。
ただ、気になるものはあるのでいくつか挙げておきます。
選択中のトラックが少々わかりにくくなった気がしますね。あれっ?今どこ?みたいな感じで目立たなくなりました。
プロジェクトメニューにあった「テンポの計算 (Beat Calculator)」が無くなったようです。
これ、使ってる人は少ない気がしますが、私はスペースバーを適当にヒットして大雑把なテンポを調べていたので少々残念です。
スタインバーグは機能を廃止したのではなく、トランスポートバーに吸収したと言ってるようですが、現時点ではタップが効かないような気がします(みんなさんのところでは効きますか?)。バクならそのうち更新版で対応されるでしょう。
「あれ!ルートはどこ行った?」と思ったら右端に移動してました。なぜこんなに端に移動させる必要があったんだろう...。
選択ツールの持ち替え時の長押し時間が少し長くなった気がします。「あれ!切り替えられない!」と思ってしまいました。
ちょっとだけ気長に待つ必要があるようです。
「1.1 Steinberg Hub」で触れましたが、終了時にSteinberg Hubがついて回ります。
プロジェクトをすべて閉じたときにSteinberg Hubが立ち上がります。最終的なCubaseの終了はHubで行うことになります。
Steinberg Hubの右下のボタンが「Cubaseを終了」ではなく「キャンセル」になっていることがあります。パフォーマンスメーターなどの何かウインドウが立ち上がったままの時はこうなります。
わかっていても、付きまとわれているような煩わしさを感じますね。なぜこんな仕様にしたんだろう。ユーザーにとってのメリットは感じられません。
大きめのプロジェクトを閉じるとHubが開くまでに時間を要する場合があります。Hubが開く前にPCをシャットダウンしてしまうと、Cubaseが異常終了となり、次回の起動時にセーフモードダイアログがでたりします。
やっぱりこの仕様はいかがなものかと思いますね。
オペレーションマニュアルに載ってるC13の変更点を中心にして、個人的に興味のあるものを紹介し、評価してみます。
プロジェクトウィンドウの外観変更で目が行くのはこれだと思います。初期状態では閉じてるかもしれませんが。
インスペークターが2列に分かれたように見えます。Cubaseはこれを「チャンネル」「チャンネルゾーン」と呼んでいて、表示/非表示を切り替えられます。
これによって常にフェーダーやレベルメーターを常に表示させておくことが容易になりました。個人的には〇ですね。
でも小さい画面のパソコンユーザーは敬遠する気もしますね。
わかりやすところでは、MIDI編集の際にベロシティ、コントロールチェンジによる音量などの値の分解能が大幅に大きく?(細かく?)指定できるようになってます。
細かさの度合いは環境設定で指定できます。
しかしながら、ウチではMIDI2.0対応ハードやインストゥルメントはないので(というか、まだほとんど市販もされてない)、今のところ個人的には本件にはあまり興味ありません。
興味ある方はオペレーションマニュアルを見てください。現時点では英語版しかないですが。
これはいいですね。波形を変換することなくトラック属性を変更できるようになりました。すぐに元に戻すこともできます。
モノラルトラックに録ったボーカルに空間系エフェクトプラグインを挿しても、きちんと左右に広がるようにできます。
これはちょっと面白いですね。個人的にはこういう機能があればと思ったことがあるのです。ただ、周波数値を刻々と表示してくれればもっとよかったですね。
スペクトラム表示の縦のスケールを変更できるようになったようです。マニュアルによると、これによって「マスタリング時などの微妙なパラメータ調整が容易になります。」とのことです。
ボーカルをよく使う人には役に立つのかもしれません。インサートスロットが足りなくなるこも無くなるのかもしれません。プリセットのなかにドンピシャなものがあればでしょうけど。
文字通りのボコーダーです。これは面白いですね。〇です。
以下のプラグインが追加になりました。画面だけ紹介しておきます。見る人が見れば画面だけでイメージが沸くのかもしれませんね。
付属の MIDI エフェクトのユーザーインターフェイスが大幅に変更されているとのことです。全部ではないようですが、Compressorなんかはパネルが独立したこともあり、大きく変わった印象があります。
Cubase 12 まではキーエディターとドラムエディターのツールに「範囲選択(Range Selection)」がなかったんですね。
新たに追加になった範囲選択は小節や拍などの単位でのコピー、特に[Ctrl]+[D]を使う場合に便利です。
範囲選択の基本は「選択に従う」と「縦方向全体」の選択モードがあります。
「選択に従う」はドラッグした部分だけ、例えばノートディスプレイ部分だけの選択になります。
選択した状態で選択モードを「縦方向全体」に変えるとコントローラーレーン(表示されていないレーンを含む)を含む全体の選択になります。
「縦方向全体」を選び、[Shift]を押しながらドラッグすると、最初から全体の選択ができるようです。
(本来は「複数パートの..」とするべきかもしれませんが、ここでは「複数トラック」としておきます)
これはオニオンスキンといったほうが分かりやすいでしょうか。キーエディターとドラムエディターでの複数のトラックの編集において、重ね表示対象トラックの選択と編集対象トラックの選択が容易になりました。
"Visibility"を開き〔@A〕、重ね表示対象トラックにチェックを入れます〔B〕。表示/非表示を簡単に切り替えられるのは便利です。
トラックを選ぶと編集対象になります〔C〕。これはどのイベントがどのトラックのものかを判別するときに便利かもしれません。
いろいろなループが入ってます。これを有効に使うにはどうすれば良いんだろう。
ある程度たまに入れておくか、それとも行き当たりばったりの偶然を楽しむか....。
SFチックな映像作品が作れそうです。効果音集として面白いんじゃないかと思います。アイディアが生まれそうです。
暇なときに、もとい時間があるときに流して聴けば閃きの元になりそう。自分の抽斗には無いものが浮かびそう。
これも面白いけど、結局は他と同じようなことしか書けんな、といまさらながら気付いてしまった。使い手次第ってことでしょうか。
サブカテゴリ FX は面白いけど、ほかはどうやって使うんだろう。筆者の感性では評価できそうにないです。
オーケストラ関連の音色セットです。音は良いのだけど、断片的な提供みたいな感じがします。でも、これを使ったデモプロジェクトはなかなか良いです。
Cubase 13ではSpectraLayers Oneのバージョンが9から10に上がりました。
Steinbrg Dowmload Assistantの旧版(Cubase 12)のところは9のままになっていますが、Cubase 12のARAでSpectraLayers Oneを指定すると10が呼び出されます。Cubase 13のライセンスがなくても10が開けるのかは未確認です。
廃止になったと思われるものを上げてみます。
マニュアルには記載がありませんが廃止になったようです。Cubase 13ではVST Cloudメニューから削除されています。マニュアルサイトでもCubase12には提供されているVST TransitのマニュアルがCubase13では削除されています。
メンテナンスが大変な割にはユーザーが少ないと判断したのかもしれません。
コラボに関する機能を捨てたわけではなく、VST Connectに一本化ということでしょうか。
プロジェクトメニューからブラウザー(Project Browser)が削除されています。オペレーションマニュアル上でも削除されています(部分的に記載が残っているところはあるようです)。
使い方は人それぞれなので困る人もいるのでしょうが、筆者自身はプロジェクトブラウザーが必要な場面はこれまでになかったですね。
MIDIプラグインから Track Control が無くなっています。プラグイン・リファレンスマニュアルからも削除されています。
GS、XG 互換のMIDIファイルを作れなくなるわけでもないので、廃止になっても特に問題ないと思いますが。
そもそもこれを使っている人はどのくらいいるんでしょうかね。