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フット・スイッチで Cubase の録音ボタンを押したい (2015.8.11)


キーボードが苦手な人は DAW の録音ボタンをフット・スイッチで押せるようにすると便利です。 なにか気に入ったフレーズが浮かんだ時に、PCのキーを押したり、マウスを操作していると折角のフレーズがフッと頭の中から消えてなくなってしまいます。 そんなときに足で録音ボタンを押せればスムーズに録音動作に移ることができ、フレーズのロストを抑える可能性が高くなると思います。

ただ、ここに紹介する環境設定はお使いの機種によって依存する部分が多いため、これをご覧になっている方の DTM 環境ではそのままは当てはまらない場合が多いと思います。 しかしながら、メジャーな DAW ならば類似の設定が備わっている可能性があるので環境設定をチャレンジする価値は大いにあると思います。

そこでここでは、あくまでも参考情報として、当方の音楽環境を例にしてツボになりそうな要点を紹介しながら、設定の内容と極力その理由を捕捉するにとどめます。 正直なところハードルは若干高いと思いますが、とても便利機能なので是非チャレンジしてみてください。

BOSS FS-5L 図1:BOSS FS-5L


フット・スイッチはMIDIキーボードに接続するタイプを使う


BOSS FS-5L 図2:BOSS FS-5L

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BOSS ボス ラッチ・タイプ フット・スイッチ FS-5L
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BOSS ボス ラッチ・タイプ フット・スイッチ FS-5L


筆者が使ったフット・スイッチは BOSS の FS-5L(実売価格 \3,000 くらい) というを製品です。たまたま未使用なものがころがっていたため、これを使うことにしました。

この製品は「ラッチ・タイプ」といって踏むたびに ON→OFF→ON を繰り返すものです。また、ON の時に LED が点灯するようになっているため、状態を把握しやすくなっています(Cubaseの録音ボタンを押してもLEDは点きません)。

ただし、こういう動作のフット・スイッチでなければ使えないということではありません。後述する MIDI キーボードの仕様や DAW の設定内容によってフット・スイッチを踏んだ時の動作が変わってきます。 フット・スイッチの仕様によっては「踏んでる間だけ録音する」というような設定もできると思います(FS-5Lではできません)。


MIDIキーボードへの接続と設定

今回使っている MIDI キーボードは KORG TRINITY PRO という76鍵タイプのシンセサイザーです。 この機種にはサステイン・ペダルの他に2つのフット・スイッチ接続ポート(というよりジャック?)があり、設定画面でスイッチが押されたときに機能を選ぶことができます。

フット・スイッチは"SWITCH"【図3】というポートに繋ぐことにします。TRINITYの設定パネルにてフット・スイッチが押された時に コントロール・チェンジ 82番の MIDIメッセージを送信するように設定【図4】します。 82番のコントロール・チェンジは MIDI規格上で特定の動作が規定されていない汎用的な番号(ユーザーがある程度自由に使える空き番号)の一つです。

PORT
図3:MIDI キーボードのフット・スイッチ接続ポート

Setting
図4:MIDI キーボードのフット・スイッチの動作設定


DAW(Cubase) の設定:フット・スイッチとDAW録音ボタンの関連付け


Manual
図5:一般リモートデバイス(Generic Remote)の説明箇所

Remote
図6:一般リモートデバイス(Generic Remote)の設定

File
図7:一般リモートデバイス(Generic Remote)設定のエクスポート


DAW の設定です。ここでは Cubase Pro8 の場合を例とします。

Cubase の場合、本件のようなケースは「リモートコントロール」という行為になります。 世の中には汎用的リモートコントロール・デバイスが販売されていますが、ここではそういう製品を利用せずに単にMIDIキーボードから送信されてくるMIDI情報の一部を利用してリモートコントールを実現することになります。 この場合、Cubaseでは”一般リモートデバイス(Generic Remote)"という設定を使用することになります。 Cubase をご使用の方はマニュアルの【図5】に示す節を参照してください。

フット・スイッチが押されたときに DAW 録音ボタンが押されるように関連付けるわけですが、実際には MIDIキーボードからコントロールチェンジ82番のMIDIメッセージが入ってきたときに録音ボタンを押下する ように設定することになります【図6】。

次に Cubase (Cubase Pro8) の重要な点を一つ。”一般リモートデバイス"の設定内容を保管 (Export) しておく必要があります。 これをやっておかないと 折角設定した”一般リモートデバイス"の設定内容がCubaseを終了すると無くなってしまいます。 一般リモートデバイス"の設定内容はプロジェクトと一緒には SAVE されないようなのです【図7】。 このあたりのことはマニュアルにも書かれています。


DAW の設定:コントロール・チェンジ 82番の破棄


MIDI Filter
図8:MIDI フィルターの設定


最後にもうひとつも DAW の設定です。 録音ボタンを押下するために使用するコントロールチェンジ82番のMIDIメッセージは演奏情報と一緒にMIDIトラックに記録する必要はありません。

MIDI フィルター機能を設定してコントロールチェンジ82番を無視(破棄)するように設定【図8】したほうが良いと思います。 残しておいても特に支障がない場合が多いと思いますが、ムダなものは記録しないほうが良いでしょう。

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